第三章 第七節 ナホム書・ハバクク書・ゼパニア書概説4

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ハバクク書

⁋ハバクク書の肩書に記されている預言者ハバククの生涯に就ては、何ら知ることが出来ない。 この預言者に関する後世の伝説には、何ら史実的なものが含まれていない。本書の預言は、アッスリヤの横暴に対し、神が之を討伐せしめん為にカルデヤ民族を興し給うべきことと、忠信なるイスラエル人は、正義の神を信ずる「信仰」によりて活くべきことを、その主題としている。
⁋本書の預言の年代は、前述の「カルデヤ」 民族によって決定せられる(一章六節)。即ち之を此の民族が台頭し来った時から・アッスリヤに拮抗する迄になった時迄のものと(紀元前六二五年―六一四年)観ることができよう。 勿論第三章の「預言者ハバククの祈祷」と呼ばれている讃頌(さんしょう)は、必ずしも此の年代に歌われたものとみらるべきものではない。 本書の内容は三つに分たれ、その一は「預言者の祈願」(一章)・その二は「預言者の俟望」(二章) ・その三は「預言者の讃頌」(三章)である。但し第一章五節より十一節迄は、第二章四節と五節との間に、その位置を変更してみることとする。

第一 預言者の訴願

⁋此の部分は(一章・但し一章五ー十一節は次に)、預言者の二つの訴願からなり、預言者は此處に横暴者アッスリヤの不法と惨虐(ざんぎゃく)とを、神の聖前に詰問的に訴えている。彼は第一の訴願に於て(一章二ー四節)、

「エホバよ我呼ばはるに汝の我に聴きたまはざること何時までぞや、我なんぢにむかひて強暴を訴ふれどる汝は助けたまはざるなり」

と、彼の訴が既に長い間のものであり、既に何回となく繰り返えされたものであることを述べて、天に向って詰問している。而して神聴き給わざる為に

「律法弛み、公義正しく行はれず、悪しき者義しき者を囲むが故に公義曲りて行は」

れている周囲の世界の現実を訴えている。第二の訴願に於ては(一章十二―十七節)、彼は更に神の此の傍観的態度に対して、

「汝は目清くして肯て悪を観たまはざる者、肯て不義を観たまはざる者なるに、何ゆえ邪曲 (よこしま)の者を観すて置きたまふや、悪しき者の己にまさりて義しき者を呑みくらぶに何ゆゑ汝・ 默し居たまふや」

と、その詰問的訴を更に強めている。

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