第三章 第六節 オバデヤ書・ヨナ書・ミカ書概説4

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ミ カ書 1/3

⁋本書の肩書の預言者であるミカは、パレスチナの海岸地帯にあるガテの近傍なるモレシテの人である。彼の預言したのは、ユダ(南国)の王ヨタム・アハズ・ヒゼキヤ三治世にまたがっているものとせられる(一章一節)。 従って彼はサマリヤの陥落をその眼前に見せられた人であって(一章一節 )、アモス・イザヤ及びホセアの後輩である。預言者イザヤがエルサレムに住み、王家に近い預言者であったのと恰度対蹠(たいしょ)的で、彼は農村の人であった。此の両預言者の対照は極めて興味あるものである。例えばエルサレムに対する預言をみると、イザヤは之を難攻不落なりと云ったが (十章二十四ー二十七節、十四章三十二節、二十八章十六節等)、ミカは此の都が全く破壊され、田圃(でんぽ)となって耕され、石堆(せきたい)となり、その山は雜木の生い茂る所となると、激しい審判の言を語っている(三章十二節、一章五、九節)。またメシヤに就て云っている處をみると、イザヤは彼を王者としてダビデの位に坐す者として預言しているが(九章六節以下、十一章一節以下)、ミカは彼を田舎のベテレヘム・エフラタより出ずる者で、神の名によりてその群を牧するよき牧羊者として預言している(五章二ー四節)。 此處に農村から出た預言者と、都会から出た預言者とのものの観方と考え方との別が見出される。此のエルサレムに対してミカが語った滅亡の預言は、後に図らずもエレミヤを救うことになった。即ちエレミヤがエルサレムは陥落し、神殿が破壊されると預言した時(二十六章六節)、指導者も民衆も彼を殺すべしと云った(同八ー九節)。然るにある数人の長老が、ミカがエルサレムの滅亡を預言したことを引用し、その前例によってエレミヤに罪なしと云い、之を救ったのであった (同十七節以下)。ミカ書は全体が四部に分たれている。第一が「審判の警告」(一一三章)・第二が「回復の約束」(四ー五章)・第三が「審判の警告」(六章ー七章六節)・第四が「回復の約束」(七章七ー二十節)である。

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