第三章 第六節 オバデヤ書・ヨナ書・ミカ書概説2

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オバデヤ書 2/2

(1) エドム征討告知 一節ー九節

⁋此處にはエドムの民族的誇が、

「汝が心の傲慢なんぢを欺けり、汝心の中に謂ふ誰か我を地に曳きくだすことを得ん」

と録され(三節)、その傲慢そのものが、エホバにより打ち砕かれることが述べられている。即ちその同盟者と友好者とは彼を裏切り、彼に従いし者らは彼に背き、エサウは遂に 「その山より絕ち除かるべし」と断言せられている(九節)。 此の部分の本文は前述の如く、エレミヤ記中にーー多少の本文的差異はあるが――記されている(四十九章七―二十二節)。是は両者とも他の一つの原預言から引用したものか、或は両者の一方が他方から引用したものとしか云えないが、その決定は茲では略しておく。

(2) エドム滅亡必至 十節ー十四節

⁋此處には前述のエルサレム陥落の日に当って、エドム人がエルサレムに対して探った態度が、深き怨恨を以て述べられている。

「汝が遠く離れて立ちをりし日、即ち異邦人これが財寶(宝)を奪ひ他国人これが門に進み入り、エルサレムのために籤をひきたる日には、汝も彼らの一人のごとくなりき」

とはその言で(十一節)、此の気分は繰り返へして他の諸書に表現せられている(イザヤ三十四章八節、六十三章一節以下、ヨエル三章十九節、エゼキエル二十五章十二節以下等)。殊にエドム人は茲に「汝も彼らの一人のごとくなりき」 と記されているように、エルサレム陥落を好機として、ユダの人々の犠牲に於て、自己の欲望を満した。殊に彼等はユダの地を自己の有とし、之を勝手に占據した。 エゼキエルは之を忘れることが出来ず、神の言として、

「此等は心に歡楽を極め、心に誇りて吾地をおのれの所有となし、之を奪ひ掠(かす)めし者なり」

と云っている(三十六章五節、三十五章十節)。オバデヤは茲にエドムの罰せらるべき理由を見た。

第二 主の日の来臨 十五節—二十一節

⁋此處には終の「エホバの日」の来臨することと、その日には

「汝の為せるごとく汝も為られ、汝 の応報なんぢの首に帰すべし」

と云われているように、エホバの刑罰が、エドムの上に臨むことが 記されている(十五節)。而してその結果シオンの山は昔の通り聖所となり、ヤコブの家はその産業を得、捕われの人々はそれぞれの地を与えられるであろう。

「然る時に救者シオンの山に上りてエサウの山をさばかん、而して国はエホバに帰すべし」

とは(廿一節)、本預言書の結尾の言である。

オバデヤ書終わり、

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