第三章 第四節 ダニエル書概説 8

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(3) ダリウスの時 六章

⁋メデヤ国のダリウス王は、バビロン王ベルシャザルを滅ぼしてその国を建て、百二十人の牧伯を任命し、全国を分治させた。而してその上に三人の監督をたてて政治に誤なからしめたが、その一人としてダニエルを任命した。王はダニエルの値値を認め、その三人の中から拔き出して全国の統治に当らしめようとした。此の事は直ちに牧伯らと監督らとの嫉妬を招き、彼らの心にダニエルを陥れんとする気持ちを起させた。處がダニエルには何らの過失も無かったので、彼らは遂にダニエルがその父祖の神をのみ信ずることを知っていたので、次のような禁令を発布することを王に求めた。 即ち

「今より二十日の内は唯だ汝にのみ願事をなさしめ、若し汝をおきて神または人にこれをなす者あらば凡て獅子の穴に投けいれん」

と云うのがその禁令であった(七節)。此の禁令の発布を知るとダニエルは、その家の二階の窓の、エルサレムに向って開いている處で、一日に三度づつ膝をかがめて祈り、その神に向ひて感謝しつづけた(十節)。勿論此の事は直ぐに訴えられたので、王は躊躇しながらダニエルを獅子の穴に投げ入れ、

「願くは汝が恒に事ふる神汝を救はんことを」

とダニエルに云つたが、それでも彼はその夜眠ることが出来なかった。翌朝王は朝まだきにその獅子の穴にゆき、ダニエルを呼んでみた。その時穴の内側から声があって、

「吾神その使をおくりて獅子の口 を閉させたまひたれば獅子は我を害せざりき、其は我のつみなきことかれの前に明かなればなり、 王よ我は汝にも悪しき事をなさざりしなり」

という答があった(二十二節)。そこで王はダニエルを穴から出すと共に、その讒者(ざんしゃ)をその家族と共に獅子の穴に投げ入れた。而して全世界に次の如く詔命を出した。

「我国の各州の人みなダニエルの神を畏れ敬ふべし、是は活ける神にして永遠に立つ者またその国は亡びず、その權は終極まで続くなり」

と云うダリヨスの言こそ、本章に於ける著者の結論である(六節)。

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