第三章 第四節 ダニエル書概説 2

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⁋本書の内容はかくの如く、エルサレム滅亡後に於ける世界歴史変遷の預言からなっているが、その世界歴史は大体四つの強国の興亡の歴史となつている。是はネブカドネザル王の夢に於ける像の金銀銅鉄の四部分によっても現わされ(二章)・或はダニエルの夢に於ける「四箇の大いなる獣」によつてる現わされている(七章)。然るに此の最後の第四の強国の末期に関する記述が(二章三十二節後半、 四十一節ー四十三節、七章七節以下、二十三節以下) 餘りに細かく、且つその終極を「一週」即ち七年とし、その時「殘暴可悪者(あらすにくむべきもの)羽翼の上に立たん」と迄明白に語っていることから (九章二十七節)、本書の記されたる年代に関する近代の問題が起ってきたのである。此の世界の四強国とは第一がバビロン・第二がメデヤ・第三がペルシヤ・第四がギリシヤで――第四をロマとする解釈があるが、是は後代のもので本書が意図したものではないーーその最後の「殘暴可悪者」 とは、恰度アレキザンダー大王の後その緒将間の闘争を経てスリヤのセリウカス王家の「狂人」と 呼ばれたアンテオカス四世即ちエピフアネス王(紀元前一七六ー一六四年)がエルサレム神殿に加えた冒涜に字義通り当て嵌(あては)まり、殊に此の言は彼がエルサレムの神殿を汚したことに字義通り該当している。此らのことからみて、本書の書かれたのは此の最後の時代のことであろうと考えられるようになったわけである。此の歴史家の謂う所の「歴史的批判的問題」はそれとしておいて、本書の預言としては、その著者または年代の問題に拘らず、その預言の理解を此の時代迄及ぼし、此の時代の歴史との対応に於て之を解釈しなければならない。本書中に含まれている全体の歴史に就ては拙著 「イスラエル民族史」一四二頁以下を參照せられたい。(教団出版事業部刊行)。
本書の内容は次のやうに二つの明白な区分に分たれている。第一が「ダニエルの生涯」で、「歴史的部分」から成り(一章―六章)、第二が「ダニエルの異象」で、「預言的部分」から成っている(七章ー十二章)。以下此の順序によってその内容を概観しょう。

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