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第五 横から観た知恵 2
(2) 家庭と知恵
⁋人は先ずよき妻を得て眞に幸福な家庭を造らなければならない。
「賢き妻はエホバより賜ふものなり」
とはその基礎的の教である(十九章十四節)。箴言は此の賢き妻が如何に世上に少なき者であるかを知っていて、その価値を繰り返えして述べている(十二章四節、十八章二十二節等)。此の賢妻の実例として有名な言を語っている(三十一章十一三十一節)。然も彼は之に対して悪妻が如何に家庭を破壊するものであるかを知っている。
「辱をきたらする婦は夫をしてその骨に腐れあるがごとくならしむ」
と云ひ(十二章四節)、
「相争ふ婦と共に室に居らんよりは屋根の隅におるはよし」
と云い(二十一章九節)、 之と同様の言を数回繰り返へしている(十九章十三節、二十五章二十四節、二十七章十五節等)。此の「相争ふ」 と云うことの破壊力を知者はよく知っている。
「睦じうして一塊の乾けるパンあるは、あらそいありて宰れる前の盈ちたる家にまさる」(十七章一節、十五章十七節)
とはその家庭訓である。家庭に於ける父の任務の一つはその子供の教育である。
「幼子といへどもその動作によりておのれの根性の清きか或は正しきかをあらはす」
ものであるから(二十章十一節)、父なる者は之によってその子を知り
「望ある間に汝の子を打」
たなくてはならない。子に鞭を加えないものはその子を憎むのであり、子を愛する者は充分之を戒めるのである(十三章二十四節、二十三章十三節)。 反対に智者は子供に対しては、
「我が子よ汝の父の教をきけ、汝の母の法を棄つるなかれ」
と教えている(一章八節、四章一節、六章二十節)。智者の教育は実に硬教育であるべきであった。
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