第一章 第十二節 エズラ書・ネヘミヤ記概說5

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エズラ書「律法公布の書」 2

第一  第一帰還と神殿建築 2/2

第三章は帰還の人人の神殿再築の定礎の記述である。彼らは先ず帰還するとともに、その土着地が決定すると同時に 「七月に至りて民一人の如くにエルサレムに集まり」、先ず第一に律法に從い、イスラエルの神の壇を築き、之に燔祭を捧げ、また結茅節(かりほいわいのまつり)を行った。而して翌年指導者ゼルバベル、祭司エシユアによって神殿の基礎がすえられた(十一節)。

「祭司レビ人宗家の長などの中に以前の宮を見たりし老人ありけるが、今この宮の基礎をその目の前に置るを見て多く声を放ちて泣り、また喜悦のために声をあげて呼はる者も多かりき」

とは、此の時の會衆の歓喜の情を示す言である(十二節)。然し壯大華麗なりしソロモンの神殿を記憶している者の中には、此の定礎せられた神殿の規模の余りに小なるを見て、之を多少悲觀的に見ていた者もあったらしい。此の定礎に與った預言者ゼカリヤは之に就て後に

「ゼルバベルの手この室(いえ)の石礎(いしずえ)を置(すえ)たり、彼の手これを成終(なしおえ)ん……誰か小き事の日をいやしむる者ぞ」

と警告している(四章九、十節)。
第四章に於ては此の神殿建築が諸種の原因に由て妨げられたことが記錄せられている。
第五章に於ては、一と度中止せられた神殿再築が、預言者ハガイ及びゼカリヤの鼓舞と刺激とによって再び着手せられ、ダリウス王にその建築許可を求むることが錄されている。第六章に於てはペルシヤ第三代王ダリウス一世が、此の神殿再築許可の願について、之を調査せしめし結果、第一代王クロスが之を許可したと云う記録を発見し、之を更めて許可したことが錄され、遂に王の治世六年(紀元前五一六年)第二神殿の再築が完成したことが錄されている(十五節)。斯くして此の人々は神殿の落成禮を行い、イスラエル十二族の為に罪祭を捧げ、祭司とレビ人とをその組織に從って、モーセの律法書に拠り、神殿に仕へさせるようにした。而して 逾越(すぎこし)の物をはふり、虜囚による異邦人の汚穢を淨めたのであった。

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舊約聖書概説>第十二節 エズラ書・ネヘミヤ記概說 5、終わり、次は第十二節 エズラ書・ネヘミヤ記概說 6

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