第一章 第五節 「申命記概說 」6

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(2) 最後の一途

⁋指導者モーセの警告は、反省えの求めとして尚も続き(二十九章一〜三十章二十節)、最初にホレブ・シナイ山に於ける此の契約を真心より受入れるべきことと、之に背く時の禍とを述べ、しかしその禍を与えられた後に、若し彼らが真心より悔改めるならば、神は再び之に祝福をあたえ給うと云う事を述べ、 終に最後の決断を求めて、此の反省えの要請を終って居る。先づ第一に反省えの要請は、過去えの回想を媒介として、此の契約を受入るべき事を奨め、「今日」を三度び繰返えして(四、十三、十五節)、之に背反する時の禍を述べて居る(二十九章)。次に進んで若し彼らが此の呪詛を現実に経験せしめられて後悔改むるならば、神は之を隣み恵み給はんと述べて居る(三十章一〜四節)。此の部分の最後にはもう一度「二者撰一」が求められて居る。此所(このところ)に本書に於ける神の恩籠の深さが見られる。 一と度び「最初の一途」を謬(あやま)り、苦難の底に逐(お)いやられて後の悔改(くいあらため)と祝福との余地を示す事に依り、 より深く且つより遠き神の恩寵を示し、それを以て民の心に強く訴え、「最後の一途」の決断を求めて居るのである。

「我今日天と地を呼て證(證)となす、我は生命と死および祝福と呪詛を汝らの前に置けり。汝生命をえらぶべし。然せば汝と汝の子孫生存らふることを得ん」

とは「今日」えの壮厳なる反省要求の言である(三十章十九節)。

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