第一章 第二節 「出埃及記概說」1

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⁋出埃及記は旧約聖書に於ける第二番目の書物である。創世記の終から本書の始迄には「四百三十年」の間隔がある。即ちイスラエルはエジプトに此の年数の間住って居た訳である(本書十二章四十一節、創世記十五章十三節、使徒行博七章六節等)。 此の間にイスラエルは家族から民族となった。本書は、家族から民族となった此の民が、エジプトを出て初めて民族として自立に導かれる過程を記した書物である。本書の性格と内容とは、第一に民族解放の書として・第二に選民契約の書として・ 第三に幕屋建設の書として・第四に罪性暴露の書として・第五に理想現示の書として概観せられるであろう。

第一民族解放の書

⁋本書はその書名の示す如く、イスラエルの埃及を出ずるの記である。エジプトとは此の時には既に「圧迫」の別名となって居た語で、之より出ずる事は、イスラエル民族が解放せられるという事を意味する。民族解放の書としての本書は、解放の背景・解放の使者・解放の困難・解放の危機の、 四つに分つ事が出来る。

(1) 解放の背景

⁋本書は先ずイスラエルが、エジプトに行き其処に移住した事と、その人数とを記し、ヨセフも問題の多かったその兄弟らも死に失せ、イスラエルが徐々に繁殖して行った事を述べ、創世記との連関(れんかん)を説明して居る。而(しか)して埃及に大いなる幸をもたらしたヨセフの事を知らない王が現われて、強大となり来りしイスラエルを怖れ、之を圧迫する計画を進めた事が述べられて居る。しかし此の圧迫にもかかわらず、イスラエルの人口は益々増加したので、エジプト王パロは、そ全ての民に命じて、イスラエルに男子が生れた場合には、之を悉(ことごと)くに投げ入れて殺せと命ずる迄になった。此の圧迫と迫害との極、民の叫びは遂に神に迄達した(1章二十三節以下)。

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